fantom_zona’s diary

合成生物学(と最近では神経変性疾患)

細胞質のたんぱく質はどのようにして軸索輸送されるか?

これはすごい。殆ど画像解析とあとはシンプルな実験だけで、軸索輸送の新しい形を示している。確かに言われてみればcytosolのタンパクは軸索を移動しているのかは知らない。localに作られているのかな?くらいにしか思わなかった。画像解析を使った研究として参考にする。

このUCSDのRoy lab、軸索輸送以外にもAD/PDもやっているらしい。知らなかった。

ちなみにこの論文のfirstのDSは、あのFZのとこでPhD studentをしているらしい。

PINK1とPARKINの論文

随分と前に読んだ論文だが、最近ではここに書かれてるmitophagy以外にもmitochondriaのquality controlがもっと色々あると分かりつつあるらしい。

変性疾患というと、病理でナントカ小体が蓄積するっていうのがイメージされるが、実際の病理像は原因遺伝子と関係なく一緒なのだろうか?

Epigenetic Landscapes Explain Partially Reprogrammed Cells and Identify Key Reprogramming Genes

軽い紹介

リプログラミングと連想記憶って似てるんじゃないということから、スピングラスの物理を使ってWaddington's landscapeを作ってみたという論文。

アレイのデータから発現量をバイナリ化して扱ってる。バイナリ化の根拠として、ヒストン修飾を調べていて、これが割と2値っぽいと言っている。

63個の細胞を1337個のTFで記憶してるとしてlandscapeの作成をした。

common myeloid progenitorからの分化の再現、ESCの安定性を再現してたりする。

ただし山中因子によるiPSCの再現はできなかったらしい。

また、リプログラミングとかの過程でよく分からない細胞群が出てきてしまうことが知られているんだが、それはスピングラスの理論を使うとかなりnaturalだよって言っている。類似度も計算できてる。

他には、その状態に寄与しているTFを選び出すことができるらしく、それらを使えばリプログラミングとかdirect conversionに使えるんじゃない?って言っている。

 

感想

バイナリ化っていうかなり大胆な過程を踏んでいても、ある程度既知の知識が再現できてしまうのは面白い。ただ山中因子が説明できなかったのは痛い。

リプログラミングの過程でできてしまうよく分からない細胞ってとこに関しては、論文内で言うところの"experimentalist"もある程度わかっていたことな気がする。アレイとってヒートマップで、ある程度わかる気がするから、この理論としてわかったことではないような気がする。自然に出てくるという点ではまあそうかって感じではあるが。

やはりこういう系では細胞状況への寄与率が高いTFが予測できたら、それを使って実際にdirect conversionとかの手法を作って欲しい感じはする。(firstは物理屋さんだからそれは多分ないけど。)

あと、モデルに出てくる定数が気になる。これは符号が大事であるということは分かるんだが、符号さえあっていればモデルとしては等価なんだろうか。スピングラスの物理がそこまで詳しくないから分からない。

あと、寄与率を計算する式が最小二乗法で出てくる正規方程式と(たぶん)同じになるんだけど、機械学習と連想記憶の関連はちょっと調べてみたい。

リプログラミングと連想記憶のアナロジーっていうのは新鮮だった。しかも話は割とシンプルだし、TFのcascadeとかの知識が全くなしにアレイデータさえあればここまで作れてしまうのは面白い。 Waddington's landscapeっていう誰もが知ってるテーマに挑んでいるのも好感が持てる。データが公開されて天才がすごいモデル作る!みたいな話っぽいくて好き。

 

改変Notch受容体による細胞間コミュニケーション

この前出た、"Engineering Customized Cell Sensing and Response Behaviors Using Synthetic Notch Receptors"の紹介を軽くします。

先行研究に関する言及なんかには気が向いたら書き加えます。

概要

Notch受容体の細胞内/外のドメインをカスタムすることで、他の細胞表面のリガンドを検知し、細胞内での転写へと変換することができるような受容体(synNotch)の作成をした。

基本的なアイデア

Notch受容体は下の図にあるように、細胞外のリガンドと結合すると、細胞内ドメインがちぎれてそのまま転写因子として働きます。このNotch受容体の受容後の切断の機能を保持しつつ、リガンド選択性と転写因子活性を操作できないかということを著者たちは考えたようです。

そこで、著者たちは、切断を制御している部分だけを残して、あとはscFvと適当な転写因子に入れ替えてやりました。

f:id:fantom_zona:20160213011408p:plain

頑張って色々やったのだと思うのですが、図の灰色の部分を残せばうまくいくことが多いと発見したようです。

結果

色々たくさん実験をして、細胞表面のリガンドだけを検知すること、自分の細胞表面にあるリガンドはsynNotchの活性を抑制すること、EMTや細胞分化誘導を引き起こせる程度には活性を持ち得ること、複数のsynNotchを同時に使えること、それらを用いて論理回路が作成できることなどを示しています。(全部書くのはめんどくさくなったので割愛)

以上に加えて、この論文の最後の実験なのですが、空間的なパターンの形成の実験を著者たちは行っています。

実験では、MDCK細胞というイヌの腎尿細管上皮の細胞株からsenderとrecieveeという二つの種類の細胞を作成しています。senderでは細胞表面にGFPを付け、recieverではGFP→CD19&mCherry, CD19→BFPという回路を入れておきます。

すると、senderの周囲に、recieverがmCherryとCD19を発現します。このとき、自分の表面に発現したCD19をsynNotchは検知しません。したがって、mCherryとBFPが同時に発現することはありません。次に、mCherry発現細胞のさらに外側の細胞にBFPが発現します。このようにして二重のリング状にパターンが形成されるはずです。

f:id:fantom_zona:20160213012730p:plain

まとめ&感想(というかこれが一番書きたかった感じある)

イデアとしては、前からいろんな人がやりたがってたのだと思うが、これはかなりすごい。ここで書かなかったデータ見ても、人工的な受容体でこんなに綺麗にデータが取れるのは驚異的。とくに最後のパターン形成。しかもたぶん汎用的。

リボスイッチとかプロモーターとかはツールとしてかなり集まってきていると思うが、これで、CARみたいに細胞内の転写ネットワークにとどまることなく細胞間コミュニケーションまで広げられそうな感じ?ちなみに同一号でCARの特異性向上のためにsynNotch使ってます。

そういえば、two-component sysytemだかでも細胞内ドメインがちぎれて転写因子になるやつあった気がするけど、忘れたので知ってる人教えてください。

 

合成生物学おもしれええええ!!!(結局これ!)