fantom_zona’s diary

合成生物学(と最近では神経変性疾患)

Tinderをハックしよう!

 マッチングサイトやマッチングアプリをご存知だろうか(以下、総称してマッチングツールと表現することにする)。マッチングツールは、近年出会いの契機として一般的になりつつある。マッチングツールは、出会いを求めるユーザーに、写真、生活スタイル、宗教などの情報を他のユーザーを提示することで、ユーザー同士がコンタクトを仲介する。ユーザーが求める出会いは、一夜限りの関係であったり、友達、生涯の伴侶であったりと様々であるようだ。
 マッチングツールのユーザーが増えてきたことで、多くの情報が蓄積されてきた。これによって、近年マッチングツールのデータ解析が行われるようになってきており、マッチングツールの解析は、新たな研究分野として認知されつつある。さらに、マッチンツツールを解析し、その結果を自らのアカウントにフィードバックすることで人気アカウントに上り詰めた人々が出現してきたことで、メディアにも注目され始めている(Webb, 2013;Poulsen, 2014)。
 マッチングツールを利用する以上、人気度を上昇させることはユーザーにとって中心的課題と言って差し支えないだろう。もし読者がマッチングツールを使用しているなら、前述の人たちのように、解析結果をプロフィールに反映させることで人気度を上昇させてみたい気持ちになるかもしれない。しかし、既存の研究対象は英語のサイトであることが非常に多く、日本人である我々がその研究内容をそのまま利用するにはハードルが高い。そこで、日本でも海外でも普及しているTinderに焦点を当て、その研究を紹介したい。本稿を読んで、Tinderを利用する読者がより良いTinderライフを送れることを願う。また、Tinderを利用していない読者でも、マッチングまでの過程が簡略化されたモデルとしての面白さもTinderにはあるので、箱庭の中の人々を眺めるような楽しみ方をしていただけたら幸いである。

 

Tinderにおけるユーザーの傾向

 Tinderについて紹介する上で、まずTinderの仕組みについて簡単に説明する。Tinderは、ユーザーの近くにいる別のユーザーの簡単なbioとプロフィール写真を次々に提示する。ユーザーはそれに対して、右か左にスワイプすることで、”like”か”dislike”を選択していく。ユーザーがお互いにlikeをすることを”match”と言い、matchするとメッセージのやり取りが可能となる。Tinderはその簡便な操作性から、2012年に公開されて以来、現在に至るまで爆発的な人気を獲得してきた。
 実は、Tinderのユーザーの傾向を調べた文献は、他のマッチングツールに対してかなり少ないが、Tysonらの文献でよく調査されている(Tyson et al., 2016)。彼らは、性別やプロフィール写真の異なる14個のbotを作成しTinder内で動かすことで、約50万人分のアカウント情報やmatch後のメッセージのやり取りの情報を得ており、これに基づいた解析を行った。彼らはまず、男女間でTinder内の行動が大きく異なることを報告しており、その違いを以下に纏める。

  • Match率
    男性は女性よりも見境なくlikeをする傾向にある。likeする割合が10%以下のユーザーは男性で9%、女性では58%である。match率に関して、男性が女性とmatchする割合はlikeした数に対して6%、一方女性が男性からmatchする割合は10.5%であった。また、男性ユーザーがlikeをされる場合、その90%ほどは男性からであった。男性同士のmatch率に関してはTysonらの文献に記載されていない。
  • メッセージのやり取り
    メッセージのやり取りについて、男性はあまり関与しない傾向にあるものの、やり取りが開始される場合には、男性から即座に切り出し女性がそれに答える形となっている。具体的には、match後のメッセージの送信率は男性が7%、女性が21%と女性の方が高く、match後の反応は女性の方が良好である。メッセージを送信するまでに掛かる時間は、男性の中央値は3分であるのに対して、女性の中央値は38分である。メッセージのやり取りの63%が5分以内に男性から開始されている。メッセージの長さは、女性の方が圧倒的に長く、男性は中央値が12文字であったのに対して、女性は122文字が中央値である。また、男性のメッセージの25%は6文字以下である(おそらく、”Hi”か”Hello”のどちらかだと思われる)。

 さらに、Tysonらは、botのmatch率を高くしようという試みも行っている。彼らは実際にbotの情報を変更し、プロフィール写真を増やして、bioを少しでも書きさえすれば、match率が上昇することを示した。Tinderで操作できる項目は写真とbioしかないため、当然とも言える結果である。特に、この効果は男性において著しい変化をもたらしており、彼らの実験では、プロフィール写真を1枚から3枚に変更するとmatch数が5倍上昇し、bioに関しては、”Hello”と”from London”と書くのみでmatch数が4倍上昇している(それでもなお、女性とのmatch率は数%である……。ただ、Tinderにおける、相手のサジェスト機能の詳細が不明であることから、将来的にこの機能に関する理解が深まれば、より高いmatch率を達成することも可能かもしれない)。

 

Tinderのプロフィール写真

 Tysonらは、写真の枚数について言及したものの、その中身については触れていない。しかし、写真の内容も非常に重要であることは、容易に想像が付く。これに関しては、自撮りの角度について進化心理学的に研究したものがあるので、最後にこれを紹介する。
 Sedgewickらの報告によると、Tinderに上げられている自撮りは、男性では頭より下から撮ったものが多く、女性では頭より上から撮ったものが多い傾向にある(Sedgewick et al., 2017)。Sedgewickらは、こうすることで、男性は体が大きいように写り、女性は体が小さいかのように写り、異性に魅力的に写るようにしていると考察している。心理学の分野では、男性は体の小さい女性を魅力的に感じ、女性は体の大きい男性に魅力を感じることは、以前から知られている。したがって、Sedgewickの結果は、この心理が背景にあることで説明が付くと結論付けられている。Sedgewickらの文献では、自撮りの撮る角度を変えた場合のTinderでの反応を調査してはいない。そのため、実際に撮る角度がlike数に影響を与えるかどうかの直接的な証拠はないが、おそらく肯定的な結論が得られると推測される。

 

まとめ

 以上、Tinderの研究紹介をかなり簡単にした。2報だけの紹介だが、Tinderで好印象を抱かれるコツが確かにあることがお分かりいただけただろう。Tinderを実際に使用している読者の中には、本稿で説明されている方法以外のmatch率を上昇させる方法に気づいた方もいるかもしれない。それは、”super like”を購入ことである。super likeは、likeでもdislikeでもない第三の選択肢であり、相手に特段の興味があることを示す。Tinder公式によると、super likeを使用すればmatch率が、通常のlikeよりも3倍上昇する。Super likeは無課金の場合、1日1回に限定されているが、super likeの権利は購入することが可能であり、1 super likeあたり100円前後で購入できる。したがって、資金が無限にあれば、likeではなくsuper likeに全て置き換えることでmatch率は3倍上昇する。資金が有り余って仕方ない読者にはこれを推薦するが、実のところ、そんな人はTinderをしなそうだと思ったので敢えて書かなかった。Tinder以外のツールに関しても、今回の記事で紹介した様な研究は行われているので、興味がある方は調べてみると良いだろう。今回の記事の情報のみでTinderで人気になれるかは不明だが、これを機に読者の中でマッチングサイトをハックする者が現れることを期待する。

 

参考文献

Webb, A. (2013). How I Hacked Online Dating, TED Talks .
Poulsen, K. (2014). How a Math Genius Hacked OkCupid to Find True Love, WIRED .
Sedgewick, J. R., Flath, M. E., & Elias, L. J. (2017). Presenting Your Best Self (ie): The Influence of Gender on Vertical Orientation of Selfies on Tinder. Frontiers in Psychology8.
Tyson, G., Perta, V. C., Haddadi, H., & Seto, M. C. (2016, August). A first look at user activity on tinder. In Advances in Social Networks Analysis and Mining (ASONAM), 2016 IEEE/ACM International Conference on (pp. 461-466). IEEE.

 

 

 

UCSD Roy lab その3

これ

顕微鏡の自動サンプリングシステムを使って、aSynによるvesicleダイナミクスのunbiasedな解析をした論文。系が面白い。もう写真撮る過程のbiasは無いものと信じるしかないからな。「PDと小胞輸送の関連はもう前から言われていたけど、aSynはpreにいるからER→Golgiの話をするのはおかしい」とのこと。当たり前だけど、文献のアブストの内容くらいしか覚えてないようだとここら辺はあまり意識しないかもな。まあでも最近はdendriteに蛋白合成系のオルガネラは揃ってるみたいな話もあったりするから、もしかしたらpreにも系が全部揃ってる可能性はある気がする。オートファジーとかなら、どこのオルガネラがオートファジーを受けるのかってことになってくるのかな。

やっぱりこの論文の1stの方、この分野続けて欲しかったなぁ。

メモ

エクソソームについて調べていたところ、まとまった日本語のページがあったので貼っておく。

aging.wiki.fc2.com

parkin translocationによるhigh content RNAi screening

これ

parkinのtranslocationを利用するのは賢いと思った。
これ以外だと変性疾患だとtau, Aβ, αSynあたりかな。
high content screeningってやつ、うまい指標を作るのが面倒くさそう。

今やるならCRISPRなのかな?ここら辺の優劣はなぞ。
RNAiは結構細胞内が変化するって話を聞いたことがあるけど本当なんだろうか?
gRNAのライブラリってどこかでもう売ってるのかな?

メモ

実験に際するメモ

wide fieldは退色が少ないがフォーカス面がずれるのがでかい。

confocalはオートフォーカスができるけども、退色が強く細胞障害性が大きい。

コネクトームをシーケンサーに掛ける?

今回はこれ

 

イデアがすごい好き。

僕はわりかし最近に存在をしったけど、DNAバーコードのアイデア自体は結構前からあったらしい。

神経科学は、一昔前の遺伝学みたいな感じで泥臭く一個一個読やっていくしかないのかなって思ってたんだけども、案外そうでもないのかもしれない。

あるいは透明化の方が早いのだろうか......

 

 

UCSDのRoy labの続き

先日のRoy labから出た論文が非常に参考になると分かったので、しばらくはここの研究室の論文を読むことにする。

とりあえずこれアルツハイマー病(AD)はAPPがγ, β secretaseによって切断されることによって生成されたAβが凝集することが特徴的。最も多い神経変性疾患

APPがendocytosisされて、BACE-1のいるRecycling endosomeに取り込まれて処理を受けることを報告した論文。ADの人の脳で、実際にAPPとBACE-1の分画が増えていることを最後に示している。activity dependentらしく、デフォルトネットワークの活動度がADと関与しているのではないかとの報告もあるようで、その具体的なメカニズムではないか?と言っている。ほとんどイメージングしかしてない。

なお、ニューロンは全て初代培養で、lentiか何かでADのモデルにしたものは使ってない。実際にADのGWASか何かで出てきたSNPはこの経路に関するものなのだろうか?sporadicなADの関与とも関係ありそうだ。