fantom_zona’s diary

合成生物学(と最近では神経変性疾患)

アンブロキソールの効果

今回はこの論文

アンブロキソールと言えば痰切りとして誰もが知るところだが、具体的な機序についてはそういえばよく知らない。医学生程度ではこういう機序の分からないものは結構あり、実際教科書に載っているような生理学や分子生物学に基づかない機序であることが多いようだ。こういうのは幾らでもあり、アンブロキソールを始め、カルボシステインだとかマグミットだとかミヤBMだとかかなり頻繁に使用される薬剤にも存在すると思われる。だから、アンブロキソールなんてものがautophagy-lysosome系に作用するなんてのは僕にとってかなり驚きである。

Gaucher病の原因変異として知られていたGBA1変異が、GWASの結果から、実はParkinson病の相当なリスクファクターであることは界隈では有名だが、まさかアンブロキソールがGCaseのシャペロンだなんてことは全く知らなかった。論文の内容としては、アンブロキソールがautophagyを抑制しexocytosisを促進したり、ミトコンドリアの生合成を促進するという内容。α-synuclein代謝まで言及されており、リン酸化α-synucleinが減少することからParkinson病を抑制する方向に行くのではないかと示唆されている。(僕はそれは怪しいと思うが)

discussionで機序の仮説として書かれているのは、アンブロキソールがlysosomeに移行しexocytosisやCa2+放出を促進し、autophagyの抑制やTFEBの活性化が起きるということだそうだ。(仮説を示すデータはこの論文では示されていない。)ちなみに、実際にアンブロキソールを内服したら神経細胞に影響を与えるか?という考察もされており、内服だけではこの実験の濃度には達しないだろうと書かれている。

GBAやアンブロキソールの先行研究を知らないのでなんとも言えないとこだが、非常に面白い内容だと思った。アンブロキソールがいつ発売されたのか知らないが、おそらく新しい薬ではないだろうと思う。こういう昔ながらの薬の機序は意外と面白いような気がしていて、マクロライドの抗炎症作用だとかメトホルミンのGLP-1分泌促進作用だとか意外な関係が調べてて面白い。余談だが、この前薬屋さんの説明で聞いた話では、メトホルミンにGLP-1促進作用があるので、DPP4との組み合わせが非常に良いらしい。あと、ビグアナイドを内服してる際は休薬しないと造影剤を基本的には使ってはいけないが、実のところ、メトホルミンではそんなに乳酸アシドーシスが起きないのではないかとかなんとか。データがきちんとあるのかは知らないが。でも乳酸アシドーシス怖いもんね。